これは私がかつて住宅営業マンとしてお客様との家づくりをしていた頃の、
「親から家づくりに口出しされてしまったご夫婦の」本当にあったお話です…。
この記事は
- ご両親が健在
- 家づくりに関してまだ親に何も話していない
- 家づくりや土地探しに関して親に相談しようと思っている
という方におススメです
第壱話 奇跡の価値は
Fご夫婦とお会いしたのはモデルハウスへの来場から。
当時 住宅営業マンとして家づくりをしていた私や、住宅の性能などを気に入ってくれ、土地探しからお手伝いをすることに。
土地については
お互いの職場へのアクセス、ゆくゆくの子育てのヘルプをお願いしやすいよう、
奥様のご実家近くの土地を希望されていましたが、そのエリアは中々土地の出ないエリア。
土地探しに時間がかかるかも。ふたりの理想の家が出来る様、二人三脚で頑張っていきましょう、と次回土地のご提案を進めることに。
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そういえば、F様ご両家は家づくりのことは賛成なのですか?
ゆくゆく子ども達との同居を考えている場合や子どもが「ローン」を組むことが不安 などの理由から親が家づくりに賛成しないケースも多く、
家を建てる本人たちの強い意思がない限り、「親の反対」に押し切られて家づくりの計画自体がとん挫することも多い。
私は家づくりに対してのご両家のご意向は事前に確認するようにしていた。
ご夫婦は顔を見合わせて
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私の親は早く建てたほうがいい、と思ってくれているみたいなんです。
アパートの家賃がもったいないって。
子育てに対しても助けられることは何でもしたいって言ってくれていて。
今からすでにアテにしちゃっています(笑)
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僕の親にも家を建てることは以前から話していて、
ふたりでやっていけるなら良い、というスタンスです。
全く反対はありません。
と、ご両家共にお話済で承認されているご様子。
これならご両家の反対はなく、家づくりに関してもスムーズにスタート出来ると安心し、Fご夫婦と土地探しをスタートさせた。
土地探しは難航を極めた。
そもそも土地の需要はあれど、供給の少ないエリア。
F様の奥様のご両親も土地柄のことはご存じで
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無理に実家の徒歩圏内でなくてもいいんじゃないの?
私たちが車に乗って迎えに行くことだってできるんだし。
車で行ける範囲まで土地のエリアを広げてたら
もっと土地が探しやすいんじゃない?
とアドバイスをされたが、Fご夫婦は
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妻の親も一生車に乗れるわけではないので、
子どもが徒歩で歩いて行ける範囲内にしたい。
それに、妻の親に何かがあった時は今度は我々が助けてあげられるよう、妻の実家への近さは最優先
惚れてまうやろおおおお~!!!!!という理由でエリアを広げることはせず、土地探しを続ける。
ついに運命の出会いが。
ようやくFご夫婦の中で納得できる理想の土地が見つかったのだ。
はじめてお会いしてから1年が経とうとしていた。
これまでの間に土地探しと並行で 住宅ローンの審査もしており、万全な状態。
土地の申し込みをしよう、という際に
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僕の親に、この土地で決めたという報告をしてから
土地の申し込みを進めたい。
家づくりには賛成しているので問題ないと思うけれど
と。確かに家づくりはみんなに祝福されて進めてほしいし、申し込みに関しても「買う」という意思表示。
不動産屋さんに「今日の夜には土地の申込書を提出する」旨伝え、
F様ご夫婦には土地の申込書に記入してもらい、
ご主人が本日ご実家にて報告後、私に連絡をもらい、私が不動産屋さんに提出する というスケジュールで動くことに。
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19:00には連絡できると思う
とご主人。
F様ご夫婦はお二人ともすごくうれしそう。
そりゃそうだ。1年間ずっと探していた理想の土地。
土地がなければ家を建てることはできないのだから。
エリアを変えず、ずっと探していたのだから。
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第弐話 鳴らない、電話
遅い。
谷は携帯電話をフル充電して待っていた。
もう20:00だ。約束の時間から1時間経っている。
だが携帯電話は鳴らない。
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もしかして…土地が決まったのでお祝いとなり、
みんなでお酒でカンパーイ!
そして寝ちゃったとか…?
と不安になり、F様に連絡をする。
呼び出し音が永遠をも思わせた時 F様の声が
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もしかして土地決まったお祝いの最中でした?
スミマセン…。
そろそろ不動産屋さんに申し込み書お送りしてもよろしいでしょうか?
沈黙。
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谷さん…うちの親、家づくりには賛成なんですが、
土地については反対だって言っていて…
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えっ…?
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僕、てっきり家づくりには賛成で
僕たちが出来る範囲で自分達で決めて進めていいって言っていたので
土地についてもそうだと思っていたんです。
でも、今日土地を決めたことを伝えたら
長男なんだから うちの近くに住むと思っていた、と。
土地については認められない、って…。
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そ…そんな…
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とりあえず、土地の申し込み書提出の件はもう少し待ってください。
また日を改めて親と話すことにしたので。
ちょっと親を説得してからでないと申込書出せそうにないです…。
また連絡します。
と、電話が切れた。
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電話を耳から離してもツーツーツーと鳴る不通音が頭の中でこだましていた。
第参話 終わる世界
私は不動産屋さんに今日中には土地の申込書が提出 出来ない旨を連絡した。
不動産屋さんはあまり気にしていない風だった。
それはそうだ。土地がなかなかでないエリアでこれだけの土地だ。
今回の申込書がなかったとして、近いうちに必ず売れてしまうだろう土地だ。
不動産屋さんにとって購入希望者はF様だけではないのだ。
だけどF様にはここしかないのだ。
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しばらく申込書なしで予約という形にしてもらえないでしょうか。
1週間以内には必ず返答します。
1年もこの土地で探していて、ようやく利用の土地に出会えたのです。
無理を承知でお願いします
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気持ちはわかるけど、それは無理だ。
売主さんとしては早くこの土地を売却したい意向で、
今回の申し出を受けたら売主さんの意向に反してしまう。
そもそも…1年も土地を探していて、理想の土地なら1週間も待たずに申込書を出してほしい
何度もお願いしたが、不動産屋さんの返答は変わらなった。
一番落胆しているF様に連絡しなければ。
土地の申し込みをしなければ、他のライバルに土地を取られてしまうことを。
まさかこんな事になるなんて思わなかったと思っているF様に告げなければ。
ようやく見つけた土地にはリミットがないことを。
私は意を決してF様に短いメッセージを送った。
その後 F様からは「わかりました」と短い返信があり、それ以上は私は連絡を控えた。
何を言っても、どういっても突き付けられた現実を変えることはできないのだ。
変わらず不動産屋には毎日連絡をいれ、土地の進捗を確認していた。
F様が両親の反対により申し込みを断念した日から1週間が経った日、F様が希望をしていた土地の申し込みが入った。
おわりに
その後 F様はしばらく家づくりの打合せを辞められました。
奥様もご主人も
今回の土地の購入が出来なかったことでかなり精神的なショックが大きく、家づくりの話すらすることが嫌になってしまったと。
今回のケースは
ご両親、本人の認識のずれがあったこと。
ご両親は何の根拠もなく長男なのだから実家そばに土地を探して家を建てるだろう、と認識していたことから
ボタンの掛け違いが発生してしまったのでした。
中には親に家づくりを反対された場合に
そんなことを言う親とは絶縁します
と言い切って家づくりを強行突破しすすめる方もいらっしゃいますが、
本来であればみんなに祝福され、幸せになる家づくりをしてほしい。
![](https://kurashidukuri.blog/wp-content/uploads/2023/04/jason-dent-WNVGLwGMCAg-unsplash.jpg)
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そうするためには
家を建てようかな、と思った早めのタイミングに一度親に話すこと。
土地から家づくりを進める場合にはどのエリアに、と具体的な地名も伝えることにより、今回の認識のずれを解消できます。
特に地方のエリアの方でどちらかの実家に極端による場合などは注意が必要です。
また、
親に話しに行く際には自分ひとりで!
中には
パートナーが同席していると、パートナーを気にして親が本音を言えない場合も。そうなると最後の最後で「実はあの時は言えなかったけど…」なんていう大どんでん返しが起こることもあります。
また、中には自分の気持ちをストレートにぶつけられる親もいますが、パートナーがダメージを負う可能性も。
自分の親に話す場合はパートナーを連れて行かず、短期決戦で話合いをおススメします。
反対された場合も、即座に反論せず、どうしてなのか理由を聞いてみてください。
それが仮に納得できない理由だったとしても静かに聞いて。
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お母さんの気持ちはわかった。
また自分なりに考えてみるね
と一度持ち帰る姿勢を見せて。
そしてその後 検討をしてから「あの時の話だけど…」と少しずつ自分たちの気持ちや反対された理由にたいしてどう考え、どう思っているかを時間をかけて話していくしかないのです。
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